浮世離

水面に浮上してほんのつかの間の息継ぎ。心象風景がほとんど。

2019-03-15から1日間の記事一覧

春爛

はらり落ちひらりひるがえり触れられぬまま返事もないままほぐれほころびほろびる ま白なタイル ひかりの粒粒 息苦しいほど濃密な白白白 広がる身体が干からびてしまう前に 揺蕩う皮膚のまっさらな鮮度 手を伸ばす 放埒な想像力 流し目 青く 朧気な どうせ泡…

こころ

心は色の吸い取り紙のように 私の中をたゆたう ちぎれ ほどけ ばらばらになっても 色一つ一つを正しく写し取る 刻々と移り変わる 蒼や紅や真珠になぞらえ とうめいな色 とうめいな影でさえ 紺碧の海に揺れる とうめいなリボンが風を孕み 大きな弧を描くように…

金紗の窓掛けに包まれ 透明な繭に幾重も包まり 身体隅々まで洗われるような 眠りのなかに溺れる 永遠を片手に 長々と寝そべる

貴腐

唐紙の底儚く残る幽かな薫り 瓔珞の珠ゆら 白々と冴え 凋落の音を響かす ぷらちなの萩一面 月は照り映え 絹地にさらさらと這う 金色の蛇

塵芥

グレイッシュな言の葉ひらひらがはやくも古びて 一塵の風に舞い上げられて跡形もなく飛び去る 美しい廃 僕の周りには死んだ言の葉がひらひらと舞ってるだけ ふわりと落ちて また芽を吹くのを待ってる さくらさくら 美しい廃 さらさら落ちてどこまでも落ちて …

荒野

メランコリックな月が喚く 巡り巡る季節のうるささに 鉱石の様に硬質で透明な響きとなり 永遠に停止したい 邪魔だ目を開け今すぐに 自己治癒のための物語 がさがさに乾いて捲れ上がった 血がこびりついて乾涸びた そんな場所にしか似合わない音

冥府

ひろがるひかりがひかりを呼び やわらかくひるがえる環を作り 絹のような薄いリボンとなって海に沈みゆく かつてここにあった日々は風にさらされ太陽に傷み騒がしい河原のあおい苔のなかに沈黙した 紫から藍へとうつる なつかしいあなたの香りが漂ってくる …

深夜

夜の間に山の裂け目から 次々産み出される 盲の僧侶 蛋白石の喚き声 天馬のもがき 蒼い焔 明滅する鮮烈な赤 黒が産まれる前の白い発光体 転がり落ちる巨大な黒闇が音を立てて引き伸ばされる その声を聞いたものはあるか 松脂のように後を引いて 透明にしなだ…

秋の暮方

秋の憂鬱な暮方 青に廃を混ぜた 憂鬱な目つき アーク灯のつく国道 砂時計が滑り落ちきってもあなたを 恋の憂鬱が銀の羽を紛れ込ませる夕方 どうかその冷たい手で掴んでください 恋人よ 身体の芯まで冷え切って心まで連れて行かれてもよい 端正な言葉の端々が…

薄刃陽炎

秋の憂鬱な暮れ方 青に廃を混ぜた 憂鬱な目つき アーク灯のつく国道 砂時計が滑り落ちきってもあなたを 恋の憂鬱が銀の羽を紛れ込ませる夕方 どうかその冷たい手で掴んでください恋人よ 身体の芯まで冷え切って心まで連れて行かれてもよい 端正な言葉の端々…