浮世離

水面に浮上してほんのつかの間の息継ぎ。心象風景がほとんど。

萩原朔太郎 さびしい人格 について

何度読んでも実に寂しく、その上、二人だけの秘密を育んでいるような甘美な詩である。永遠に手に入れられない雲を掴むがような詩に対する憧れは、どれほどの努力をして高い山に挑もうとも、容易に手に入れることはできない。たとえ、どのような惨めな思いを…

青森挽歌 宮沢賢治

春と修羅を新幹線でパラパラとみていた。 青森挽歌に目が釘付けになり危うく涙が流れそうになってしまった。 今は亡き人に対する哀惜の思いを表現した詩は数あれどそれらの中で、最も強く、強く刺さってきたからだ。賢治の詩の中でも「永訣の朝」は大変有名…

叫びたいこと 萩原朔太郎と中原中也

萩原朔太郎の、小説家の俳句、という小論を読んでいて、詩人の本来ということを考えた。この小論は、主に芥川龍之介の残した俳句について述べたものだ。文人の余技であるとか、なかなか手厳しいことを述べていると思う。芥川の作品は全体に作り込まれたもの…

薔薇とナイチンゲールとひよどり

力をなくした時、サアディのこの詩を思い浮かべることがある。 「花瓶の薔薇がそなたに何の役に立とうわが薔薇園から一葉を摘みとれ薔薇の生命はわずかに五日か六日わが薔薇園は永遠(とわ)に楽しい ―サアディ「薔薇とナイチンゲールとひよどり」 始めてこ…

萩原朔太郎詩集

萩原朔太郎詩集の序に、詩人に進歩はなくただ変化があるのみ、という箇所がある。だから詩作はただの記録であり、魂の慰めに過ぎないと。大渡橋や、新前橋駅という詩の中には、朔太郎の強い憤りが存在している。もちろん自然や自らのノスタルジーである郷土…

低吟して

作家や文人の裏話的なものがすごく好き。最近はネットで瞬時にいろんな人の情報に触れることができるから、本当に感謝の気持ちしかない。中原中也について、調べていたら、壇一雄氏の「小説太宰治」の中に、雪の中、太宰に会いに行くという中也について書か…