浮世離

水面に浮上してほんのつかの間の息継ぎ。心象風景がほとんど。

澁澤龍彦全集21私のプリニウス読了

プリニウスを読んでから、澁澤龍彦の「私のプリニウス」をまだ読んでなかったことを思い出して、手に取った。

プリニウスの知ったことをなんでも書き留めておこうとする好奇心の強さ、とりあえず見たこと聞いたことはなんでも大切にして、その精神と熱量には感服した。現代人からするととても奇妙と思えたり、中には想像力のあまりのたくましさに、思わず笑ってしまう部分があったりするが、やはり偉大だと改めて思った。そういう知識欲の積み重ねが、今日の文化や文明に繋がっているんだろうと、素直に思わされる。当たったが幸いバッタバッタという感じで、何事も同じ調子で、書きためていくプリニウスにはやはり、世界の謎を解き明かしたいという気持ちがあったんだなと思える。知っていることをとりあえず、書いておけば、議論やまた新たな見解が生まれると思っていたのではないか。プリニウスの突き動かされる情熱のようすというのが、1000年たっても、ありありと伝わってくるのは、すごいことだ。

アネモネの語源の由来が、ギリシア語の風をに由来しているというのは、とても興味深かった。アネモネは大好きな花なので、これから見るたび思い出すだろう。

時々疑問を交えながら自問自答するかのような様子さえ、書き留めておくプリニウス。ローマ人のつきないおしゃべりを今聞いているようで、おもしろい。