浮世離

水面に浮上してほんのつかの間の息継ぎ。心象風景がほとんど。

清らかなるかな花は月は

僕の記憶
あなたの襟元に冷たい泥の塊を押し込んだ
蓮池に風はぼうぼうと吹いて
蓮の実笑うようにカラカラと震えた
あなたはにっこりと笑った
これ以上の満足はないというかのように
月は煌々と辺りを照らし
ざあっと薄が一群揺れた
二人して飲んだ毒は紫
二人してつないだ指は紅
星が降るようであり一切の音は吸い込まれた
漕ぎ出す湖畔は
首筋は吹き下ろす秋風に冷え
指先は玉のように跳ね上がる飛沫に濡れ

思い起こすなぜあのとき終わりにしなかったんだろう
全てはあの時完全に調和していたのに