2016-12-05 だから僕は本を読む 心象風景 電話ボックスが煌々と光ってる。 藍色の闇から浮き上がって見える。 受話器の緑。蛍光灯の白。 ここから誰にでも電話をかけられるとしたら誰にかけたいか。 今の自分にはあの人しか、ただあの人しか、思い当たらない。 電話の向こうで黙っていたっていい。 言葉なんかはいらない。 空気を共にできればそれだけで。 ただあの人に、電話をかける方法がわかればいいのに。 受話器にはやたらに蛍光灯がピカピカうつって。