浮世離

憂き世を離れて一時息をするための場所です。好きなことしか書きません。自分好みの書棚を作る気持ちでいます。

静夜

薄紅に藍が重なって、蜂蜜色に透き通った闇がやってくる。

夜は音がよく聞こえる。遠くから鈴の音。

空気は泡を含んだように淡くなり、月の光だけが鮮明だ。

沈みこむような、宙に浮くような、頼りない懐かしい感覚。

夜の博物館には、今日も月光が差し込むだろうか。

ラムネのように脆い月を掴んだら、指先が薄く切れて血が滲んだ。