2017-03-13 月光果樹園 心象風景 白くて厚ぼったくて柔らかい花がぽかりと咲いた。 夜の闇は冷たくなめらかで、昼の光は暖かく拡散していた 白銀灯の下で待ち合わせをしていたら、ぽたりと落ちた。 ぽたりぽたりと溶け出した月がそこいら中に落ちた。 月と花びらが道路中に拡がった。 花粉で息が詰まるので部屋に帰った。 水の底を柔らかくなぞると銀色の粒が体を包んだ。 一つ一つの銀色には全部私が映っていて、 その私は全て百合の花だった。 粒々は小さくはじけて飛んで、白い渦の中に巻き込まれて消えた。 後には何も残らなかった。 ただ密かな香りだけ