膝に気の早い朝顔が咲いた。
水色のレンズの向こうにのぞく世界を見ている。
大体白く煙っていてよく見えない。
明るい光は網膜に突き刺さるし、脳が痛む。
紅い花がぽたりと一つ落ちて、手首を桃色に染めた。
水に沈んでいく手首を見た。
白い指が優雅にピアノを奏でた。
紫の花。紫の花。
暁が死んだ夜に誰かが月を齧るのだろうか。
月はパックリと薄紅色の口を開くだろう。
目は見開いている。
でも何も見ていない。
目は閉じられたままだ。
落ちたばかりの星はまだ暖かく、ほんのりと輝いていた。
白い紙に包んで静かに川に流した。
大きな百合の花のようにゆっくりと揺らいでやがて沈んだ。