浮世離

水面に浮上してほんのつかの間の息継ぎ。心象風景がほとんど。

眩暈

ぷっつりと途切れるときには途切れてしまう。

なんだか死ぬときみたいだと思う。

ここ数年で身を包み込む濃密なゼリーのようなものはうっすらとしたオブラートに代わった。

日の光を浴びるとひりひりと痛む皮膚を抱えて生きている。

変わらない事はないはずだと念じる。

そのくせ変わらないということを願っている。

永遠はどこにもない。わかっているはず。

 

言葉は段々とその広がりをなくした。

イメージが手に負えなくて途方にくれることもなくなった。

漠然としたものを漠然としておけるようになった。

それと同時に彩を欠いた。

 

夏の日の残光が部屋に薄く差し込む。

この光もやがてすぐに消えてしまうだろう。

私は私の掌に一つとして掴めなかったことを悔いるだろう。

手を離さなければよかったというのではない。

向こうから離れていってしまったのだ。

私が何一つ正確に捉えられないうちに、流れていってしまった。

それでも私は、それを掴まえてみようと、精一杯足掻くべきだったのかもしれない。

 

足元の柔らかい花蕾を踏み潰して、半分だけの月を見る。