浮世離

水面に浮上してほんのつかの間の息継ぎ。心象風景がほとんど。

沼地に水没せし水槽

電車の中には何かの魚類の末裔が数多く息を潜めている
六月の風がさっと吹いてそのぬめりを乾かしていく
天から降り注ぐ光が藻を通して梯子のようである
わずかに尾びれを閃かし泳ぎまわり
わずかに泡を吐き出してぴくつく
電車のなかは静かなる魚類の末裔の集まりだ