浮世離

水面に浮上してほんのつかの間の息継ぎ。心象風景がほとんど。

深夜

夜の間に山の裂け目から
次々産み出される
盲の僧侶 蛋白石の喚き声 天馬のもがき
蒼い焔 明滅する鮮烈な赤 黒が産まれる前の白い発光体
 
転がり落ちる巨大な黒闇が音を立てて引き伸ばされる
その声を聞いたものはあるか
 
松脂のように後を引いて
透明にしなだれる
 
針葉樹の冷たさで底光りする
かの女の爪