浮世離

水面に浮上してほんのつかの間の息継ぎ。心象風景がほとんど。

2016-06-01から1ヶ月間の記事一覧

あこがれ

誰でも同じとか、誰でもいいとは、決して思えない。人には、そう言う。誰でも同じとか。でも、私のかけた部分をわかるのは、ただ一人の人なのだと思う。その人が誰かは知らない。かけた部分が、ピタリと合わさるように、その人と私は引き合わせられるはずな…

紺のきつい闇が、白い耳たぶから、染み込んで、はりはりと音をたてる。青いネオンサインが、誘うように揺れている。光の洪水の中に、引力に負けるようにして、引きずり込まれたい。ガラス質の球体のなかで火花が散る。髪を揺らすのは、むらさきのあやめ香水…

幽璃

同じ私は存在しない。鏡の中のように、いくつもいくつも私がいて、追いかけきれない。あなたは私というフィルターの中で幾千幾万と複製されて、数限りなく増えていく。反射を受けてキラキラと輝く、対象に向かって囁きかける星々が、宝石の匂いをばらまく。…

悼む

もうそこにいない、あなたに話しかけるように書く。 対象を失った言葉は熱も失い、ようやくと形を保っているだけだから。白昼夢のように、あなたをみた。 駅のホームで、いつもの本屋さんで、散り際の桜の木の下で、池のそばで、紫陽花の近くで、ビル風に吹…

グラスに投げ入れられた氷がオレンジにとけるように

時間がたつにつれて、はっきりわかるようになることがある。 たとえば、あのとき話したことの意味。 あの人はしっかりわかってたんだな、とか。あんな意味で何度も言ってくれたんだったな、とか。夕焼けきれいな場所に偶然つかないなとか。考えてたこと伝わ…

ルドゥーテ展

ルドゥーテ展に行ってきた。 自然を丁寧に観察して素晴らしい絵を描いた人という印象を持っていた。でも、今回初めて知ったのは、作品は銅版画に着色という形をとっていたこと。 絵画だとばかり思ってたが、それはほんの数点で、版画がほとんどだった。分業…

バラバラになってる。言葉が世界が。それは新しいものを生み出すためなのか。ただ崩れ去るためなのか。今の自分にはわからない。ひとつできること。それは記すこと残すこと。青い空に花束を投げる気分だ。

Qへ

言葉の精度を上げて、撃ち抜いてほしい。完膚なきまでに。この世界中のすべてをあなたの声と言葉とロジックで組み立てて見せてほしい。あなたと私の間にあるのはただひとつ。そう言葉なんだから。際まできて。大事な何かを持ち寄って交換しよう。足りないの…

歌うべき声

この世界には実に多くの仕事や、やるべきことがあるものだなと思う。そのなかでも歌うということ。 たいていの人が歌を歌うことできると思う。 うまいとか、下手だとか、別にして。しかし歌を歌うべき人ってそんなにいる訳じゃないと思う。 声が、歌を歌うよ…