浮世離

水面に浮上してほんのつかの間の息継ぎ。心象風景がほとんど。

2016-11-01から1ヶ月間の記事一覧

江戸川乱歩 押し絵と旅する男 のぞきからくり見物記録

先日、のぞきからくりを見物する機会に恵まれた。 江戸川乱歩の「押し絵と旅する男」が好きで、何回も読んでいたので、のぞきからくりが来ると知って、しかも数日で終了してしまうと知り、是非にも行かなければと気持ちが逸った。今回の演目は、八百屋お七。…

清らかなるかな花は月は

僕の記憶 あなたの襟元に冷たい泥の塊を押し込んだ 蓮池に風はぼうぼうと吹いて 蓮の実笑うようにカラカラと震えた あなたはにっこりと笑った これ以上の満足はないというかのように 月は煌々と辺りを照らし ざあっと薄が一群揺れた 二人して飲んだ毒は紫 二…

蓮池に月

私が見たいのは あなたの純白の襟元が完璧に調和されて汚されていくところ 私が今すぐ見たいのは あなたの冷たい襟足が完璧に調和されて汚されていくところ あなたの瞳を覗きこんでどんな顔をするのか見てみたい 宵闇暗く月は昇り秋草が枯れ果てた野原で あ…

リハビリテーション

言葉が出てこなくて焦ることはないですか。 私はある。表現したいのに、言葉に詰まる。どのようにしたら、この感じを伝えられるのかと、迷い悩む。 10代のころ、言葉が溢れて困った。結果、たくさん書き、たくさん話し、していたように思う。20代、言葉は落…

萩原朔太郎詩集

萩原朔太郎詩集の序に、詩人に進歩はなくただ変化があるのみ、という箇所がある。だから詩作はただの記録であり、魂の慰めに過ぎないと。大渡橋や、新前橋駅という詩の中には、朔太郎の強い憤りが存在している。もちろん自然や自らのノスタルジーである郷土…

山姫に

山姫にちへの錦をたむけても散るもみぢ葉をいかでとどめむこの藤原顕輔のうたがぴったりくるほど、気前よくさらさらと散り落ちる紅葉。 燃え立つような赤と輝くような黄と。 どうあがいても散ってしまうものは留めようがなく。儚く抗いようがないことは、や…

夏目漱石 こころ

学生時代に夏目漱石のこころを読んだ。先日、紀伊國屋でこころの新装判を見かけて、読みたくなった。この装丁は、新潮プレミアム判というので、よくある退屈な(失礼)水彩イラストではなく、真っ白なカバーにメタリックグリーンの押箔で題字が印刷されてる。…

サンタマリアノヴエッラの香水

007でボンドガールがつけてたザクロの香りで印象的なサンタマリアノヴエッラ。 イタリアにある本店は薬店であり、歴史ある建物と聞く。 サンタマリアノヴエッラの香水は全て天然素材でできているということ。 ここだけ小宇宙とでもいいたげな、ゴージャスな…