浮世離

水面に浮上してほんのつかの間の息継ぎ。心象風景がほとんど。

2016-07-01から1ヶ月間の記事一覧

消えてなくなる

明日のはなしばっかりするって言われて、はっとする。今ここにいる自分なんてないみたいに、明日のはなし、昨日のはなし、ずっと昔のはなし、そんなのばっかり、と言われてるみたいで。 今が全てであとはなんもないんだよって、言われた気がして。蛍がすいっ…

瑠璃色の

涙がこぼれて落ちて揺れている 腕を伸ばしてさわれば またあのときみたいに揺れてくれるの 瑠璃色の簪みたいに どうしようもなく息苦しくて それがあなたのせいだって わかればわかるほどいとおしくて また揺れてくれるの 触れば届く距離のあなた

鏡のように反射する乱舞または

スカートの裾ひらり 白い頬のあの子からは死の匂い 笑っているけど笑っていたいけど 重苦しく漂うのは死の匂い 黒髪をかきあげて汗ばんだ季節 赤い金魚が泳ぐように スカートの裾ひらり 頭から離れない 笑顔と泣き顔と 鞄を翻してきびすを返して あのときで…

蓮は白いか薄紅か

地下鉄のいならぶ電車が闇に消えるとき誰でも死んでいくと思う よく見る 今しかないと思ってじっと見る でも過去になって思い出せなくなってその瞬間は消えてしまう 地下鉄の暗闇のなかに古代蓮が浮かんで見える ふわりふわり手をふっているようだ みんなみ…

あくがれいずるたましい

美しすぎれば美しすぎるほど、透明であればあるほど、花の盛りであればあるほど、それを目に留めるのは、一瞬にしておきたい。目の端に現れてすぐに消えて行く幻のようであってほしい。もっと目に焼き付けておきたかったと、しっかり見て、なくさないでいら…