浮世離

水面に浮上してほんのつかの間の息継ぎ。心象風景がほとんど。

シーシュポスの神話

学生時代、教授に読むべきと薦められたものの、他のことにかまけて、放置してしまった一冊。手に取ってみると、シーシュポスの神話自体は、8ページほどの短編だった。

読後の感想。

不条理な世界に対して、自らの意志でもって、「それでよしと」と言い続けること。そのような行為を通じてのみ、世界は押し付けられたものではなく、自分がまさに切り拓くべき場になる。自らの意志による全肯定によってのみ、不条理に翻弄される受動的な人間ではなく、主体として世界を理解し、関与することが可能になる。その地点では、苦しみも喜びのための一歩になりうる、とカミュは言っているように感じた。そのようなシフトのチェンジによってこそ、苦難を乗り越えられ、喜びを得られるのかもしれず、それが本当に生きるということなのかも知れない、と感じた。